平成21年度 飯豊連峰を囲む三県(福島県・新潟県・山形県)山岳遭難対策合同会議

   
 後藤副町長の挨拶 福島県消防防災航空隊 佐藤副隊長の講演
   
 講演に聞き入る  西置賜行政組合消防署 救助隊 消防司令 佐藤氏の事例紹介
   
 新発田市地域安全課佐藤主事の乾杯 何で新発田市かな?(笑 懇親会の LFD・AXL・Konchang



日時 平成22年2月25日(木) PM13:30〜26日(金)
場所 山形県飯豊町「いいで旅館」
参加者 市町村担当者 警察・消防・山岳団体で合計52名

開催地、山形県飯豊町の後藤副町長様より開会のご挨拶を頂き、参加者の自己紹介を行った後、
福島県消防防災航空隊 副隊長の佐藤輝彦氏より写真、動画での映像を交え「山岳遭難捜索における航空隊と地上捜索隊との連携について」という演題でご講演を頂いた。

ご講演の中でいくつか興味深いものを書き出しておく。
@機材については、三県で異なる。山形県の防災ヘリの使用機体はアエロスパシアルAS 365N2型。 運用ヘリコプターの名前は「もがみ」
A最大定員13名で最大吊上重量272kgのホイストを装備し90mケーブルを装備(実際の運用は30m〜50m)
B基地は山形空港(県防災ヘリ、県警ヘリ、陸自第6師団第6飛行隊の何れも山形空港)
Cヘリの着陸場所 広さ40m四方の地盤が軟弱でない平坦地(アスファルト、コンクリート、芝生が望ましい。グラウンド等では砂粒で損傷の可能性)
Dヘリの着陸場所 離着陸方向に障害物がないこと。視程の妨げ、機体損傷に繋がる飛散物がないこと。
E気象条件 有視界飛行のため「雨・雪・みぞれ・もや」等で視界が妨げられないこと。
F風は風速17m/S以下であること
G地上隊と情報を共有化することは連携上不可欠である。
H発生した事案内容を迅速に憶測によらない、知りえた事実を連絡する。
I調整項目 発生事案の様相進展・ヘリに対する要望(捜索・救助・隊員資機材投入等)・要救助者の状況・現場の気象状況・連絡手段・着陸の必要の有無
J離着陸時の注意、周辺障害物の除去・立入禁止措置・出入口の安全員の配置・服装の飛散防止・着陸後の接近禁止・離着陸帯の表示・散水・吹き流し
Kヘリの有効活用(地上隊の活動手段の一つ)・地上隊との連携強化が重要

事例報告
@喜多方地方広域市町村圏組合消防本部救急救助係長岩橋氏
A小国町町民課主事広瀬氏
B西置賜行政組合消防署 救助隊 消防司令 飯澤氏

このなかで、喜多方地区山岳遭難対策協議会による飯豊山滑落事故調査報告書が参加者に配布された。
これは平成20年8月に剣ヶ峰で発生した滑落死亡事故を検証したものである。

質疑・情報交換
質疑でHZUから調査隊の見解に対し、「茶色い石は滑る」という地元の話が掲載されていたが、どういう事なのか?との質問があった。
説明者からは確立された回答はなかったが、湿気、降雨により滑りやすいとのことだった。これについて蛇紋岩を指摘する意見があった。
また、登山届について、飯豊連峰での概念図を予め示してある共通書式作成の意見があった。

個人的感想
剣ヶ峰の岩質が何であるかは判らない。谷川岳一ノ倉沢の絶壁を形成している岩質が蛇紋岩だが自分としては蛇紋岩の色合いとしては
暗青色の印象が強い。しかし早池峰、尾瀬至仏山においても蛇紋岩が露頭しているが、いかにも茶色っぽい。
ただ、飯豊山域について大規模な蛇紋岩の分布は知られていないと思うので何とも言えない。専門家に聞いたみたいものだ。

登山計画書(届)について、概念図を取り入れるのは遭難対策上非常に有用と思う。同行者、目撃者のいる発病、疾病、転滑落、墜落等の高エネルギー外傷
以外ではどうしても、救助、救出そのものより、要救助者の位置の特定ができないことによる捜索活動に多くの人力と時間が費やされるのが普通だと思われるこのため、ルートを明示したものであれば要救助者の予定ルートが明確なので捜索に有用であると思われる。
もっとも、文字情報による計画書でも、丁寧、詳細に作成すれば問題無いのだが、書き易い平易な形式を考えた場合、破線での登山道の概念図を予め記載してあるものを用意した方がより親切と感じた。これは、北アルプス北部地区山岳遭難対策協会・長野県大町警察署で発行しているものがある。



会議終了後懇親会で四方山話に花が咲いた。